ウブリアーコ・アル・トルコラート・ディ・ブレガンツェ

酒粕につけたチーズ「ウブリアーコ・アル・トルコラート・ディ・ブレガンツェ」

ウブリアーコ・アル・トルコラート・ディ・ブレガンツェ

なんだか舌をかみそうな名前のチーズですね。このチーズの名前を正確に覚えられるという方はなかなかいないでしょう。このチーズは省略されて「ウブリアーコ」(イタリア語で酔っ払いの意味)と呼ばれることもあります。漬け込む酒粕が赤ワインの物か白ワインの物かでウブリアーコ以下の名前が変わりますが、「ウブリアーコ」の名前がついていたら酒粕につけて熟成させたチーズですよ。

誕生のきっかけは戦争?

チーズを酒粕につけて熟成をさせる製法が生まれたのは実は意外と新しく、1917年、第一次世界大戦中のことです。敗戦濃厚だったイタリアの農民たちは戦勝国の兵士たちの略奪を恐れて貴重な越冬食料であるチーズをワインの樽やワインの搾りかすの中に隠しました。これが「ウブリアーコ」誕生の逸話です。こうして酒粕につけられたチーズを後から取り出して食べたら意外なほど美味しかった、ということでその後チーズを酒粕につけて熟成させる製法が各地に広がりました。現在はイタリアのヴェネトにあるカゼアリア社が「ウブリアーコ」という名前を商標登録していますので、「ウブリアーコ」という名前が付いたチーズはすべてカゼアリア社製になります。

芳醇な香りが何よりの特徴

ワインの酒粕につけられるチーズはアズィ・アーゴなどのハードタイプのチーズです。ウブリアーコ・アル・トルコラート・ディ・ブレガンツェを作る場合、チーズは地元産の甘口白ワイン「トルコラート」の酒粕につけられます。そうやって熟成されたチーズは出荷されるときも表皮にワインの酒粕をつけたまま。そこから熟したフルーツのような良い香りが漂ってきます。日本でも野菜や魚を日本酒の酒粕に漬けて食べますが、それのワイン版といった感じです。チーズの匂いというとどうしても癖のある、芳香とは言い難いものをイメージされる方が多いですが、ブリアーコの匂いはワインの匂いを連想させるとても良いものです。味もハードチーズのコクと旨味にまろやかな甘みが加わって美味しさが数段階アップした感じがしますよ。酒粕の底力を感じさせるチーズですね。

赤ワインの酒粕に漬けたものもある

ワインには赤と白がありますが、酒粕にももちろん赤ワインの物と白ワインの物があります。赤ワインの酒粕に漬けたチーズを「ウブリアーコ・ディ・アマローネ」といいます。白ワインの酒粕に漬けたものと比べると甘みがさっぱりしていてその代り深いコクが感じられます。両方を買って食べ比べてみるのも面白いかもしれません。

ワインも酒粕に合わせて

酒粕に漬けこんで熟成されたチーズにはもちろんワインがぴったりとあいます。できれば白ワインの酒粕に漬けたチーズには白ワインを、赤ワインの酒粕に漬けたチーズは赤ワインを合わせてみましょう。また、日本酒や焼酎といった全く違ったお酒と合わせても一風変わった楽しみ方ができるでしょう。香りが大変良いチーズですので、何かを合わせたり、料理に使ったりするよりは、そのまま薄くきってゆっくりと味わった方が美味しさを堪能できます。ハードタイプのチーズですので保存も聞きますが、切り口が乾いてしまうと香りも飛んでいきます。それなりに良いお値段がするチーズですので、切り口はラップなどに包んで保存しましょう。