トム・ド・サヴォワチーズ

アルプスの厳しい気候が生んだ素朴な味わいのチーズ トム・ド・サヴォワ

トム・ド・サヴォワチーズ

フランスの山岳地帯で生まれたチーズは、素朴で穏やかな味わいのものが多く日本の保存食に通じるものがあります。トム・ド・サヴォワもそのひとつ。

塊の「トム」

フランスには「トム」と名前がつくチーズがたくさんあります。とくにトム・ド・サヴォワの生産地であるサヴォア地方にはこの名前がつくチーズが多い。「トム」というと人命のようですが、「一塊の」とか「一部分の」という意味があります。この地方で作られている大型チーズが「ボーフォール」と呼ばれているのに対して、小型チーズが「トム」と呼ばれているのです。日本でいうところの「ミニサイズ」という感じでしょうか。といっても直径が18センチ~30センチ、高さが5センチ~8センチあるのですから、日本の「ベビーチーズ」などとは比べ物になりませんね。

もったいない精神が生んだチーズ

トム・ド・サヴォワの外見はお世辞にも美しいとは言えません。ハードタイプに分類されるので、熟成期間が少々長いのですがその間に外皮は硬く灰色になり、さらにそこに白、黄、赤、茶色のカビがつきます。ですから、まるでほこりまみれに見えてしまうんですね。しかし、いったんナイフを当てると現れる内面は美しい卵色。ハードチーズに分類される割にはそれほど固くなく、弾力性に富んでいます。まるで冬の太陽のような色をしたチーズで、昔の山岳地帯に住む人々は命をつないだのですね。

固い外皮に守られた美しい卵色

ルブロションは冬のサヴォワ料理の名物「タルティフレット」にはかかせないチーズです。これは、ボイルしたジャガイモの上に炒めた玉ねぎとベーコンを乗せてその上に輪切りにしたルプロションをたっぷり乗せます。オーブンでチーズがとろけるまでやけたら出来上がり。ホワイトソースを使わないグラタンといった感じでしょうか。素朴で体が温まる料理です。作り方は簡単ですから、ルプロションを手に入れられたら作ってみるのもおもしろうでしょう。もちろんそのまま食べても十分においしいです。ワインと合わせるのならば辛口の白がお勧めです。一度に食べきれない場合は、切った断面が乾燥しないようにラップできちんと密閉して保存しましょう。1週間くらいはちびちびと楽しむことができます。

さっぱりとした旨み

脂肪分が40%と少なめなので、トム・ド・サヴォアはフランスのナチュラルチーズの中ではさっぱりとした味です。しかし、決して物足りないというわけではなく熟成によって生まれたナッツのような旨みが感じられます。また、身には粘りがあるのでむっちり持っちりとした歯ごたえが楽しめます。

おつまみしたり、サンドイッチにしたりと幅広い楽しみ方を

さっぱりして癖のないトム・ド・サヴォワは、色々な楽しみ方ができるチーズです。薄く切って辛口の白ワインに合わせるのも良いでしょう。また、ハムと一緒にサンドイッチにして朝食の一品にするのもお勧めです。クセがなく子供にも食べやすい味ですから、お子様のおやつにしても良いかもしれません。冬に作られたチーズですから、料理に使うのならばグラタンなどの冬の料理が良く合います。ひと手間かけたおつまみを作りたい場合は、ジャガイモと玉ねぎを炒めて、このチーズを乗っけてしばらく蒸してみましょう。食べるときは黒コショウをたっぷりふって。パッパとつくったとは思えない美味しさです。

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