トム・デ・ボージュ

AOCに認定されたトムの代表格「トム・デ・ボージュ」

トム・デ・ボージュ

フランスには「トム」と名のつくチーズがたくさんありますが、その中でもサヴォア地方の「トム」を代表してAOCに認定されたのがこのトム・デ・ボージュです。

トムは小さいチーズの代名詞?

トム・ド・サヴォワ、トム・デ・ポワなどフランスには「トム」の名が付いたチーズがたくさんあります。その中でも特に数が多いのがサヴォア地方。もともと「トム」には「一部の」とか「かたまり」といった意味があります。そして、サヴォア地方では10キロを超える大型のチーズを「ボーフォール」と呼んでいました。それに対して数百グラム~数キロまでの小型のチーズを「トム」と呼ぶようになったそうです。元々トムは牛乳からバターをとった残りのミルクで作る自家消費用のチーズでしたが、今では生乳の種類や製法も豊富な様々な「トム」が作られています。その中でトム・デ・ボージュはサヴォワ北西にあるボージュ山塊で作られたトムの代表格で、2002年にフランスの原産地呼称制度であるAOCに認定されました。

山のチーズの特徴を色濃く残す素朴なおいしさ。

トム・デ・ボージュは牛の生乳を原料としたハードタイプのチーズです。熟成期間が長いのが特徴で、表面は色とりどりのカビが生え、内部も水気が好きなく固く引き締まっています。カビが生えた表皮は色もさることながら、とても強い匂いがしますから、初めて見た方は「本当に食べられるの?」と不安に思うかもしれません。しかし、その匂いとは裏腹に固い内部の中にはミルクの濃厚なうまみがギュッと詰まっています。匂いが気になるという方は厚めに外側をむきましょう。それだけで匂いはほとんど気にならなくなります。また、長期熟成に耐えられるように塩味が少々強めになっているので一度にたくさん食べるのではなく、少しずつ削り取るようちびちび食べたほうがお勧めです。また、熱を通すとトロトロにとろけるので、ピザやグラタンのようにして食べても美味しいでしょう。

美味しく食べるには時間をかけて

トム・デ・ボージョはハードチーズの中でも固い部類です。それに、冷蔵庫から出してすぐですと、ミルクの甘さや濃厚さをいまひとつ感じることができません。トム・デ・ボージョの真のおいしさを味わうためには、食べる2時間ほど前に冷蔵庫から出して室温になじませておきましょう。また、ハードタイプのチーズは1年中出回っていますが、サヴォア地方では、毎年夏になると牛を牧草地に放牧して自然の草を食べさせます。ですからこの時期に絞られたミルクは、他の季節のものより格段に美味しいのだとか。可能ならば、夏に絞られたミルクで作られたトム・デ・ボージョを買い求めると、その美味しさをより実感できるかもしれませんよ。

ワインだけではなく日本酒に合わせても

トム・デ・ボージュは強い匂いとは裏腹に、それほど癖がありません。ですから赤ワインよりも白ワインの方が合わせやすいでしょう。サヴォア地方では品質の良い白ワインも作られているので、同郷同士のチーズとワインの組み合わせもお勧めです。また、塩味が強くもありますので、日本酒に合わせても美味しくいただけます。薄く削ってそのままでももちろんよいですが、好みで七味唐辛子や胡椒を振りかけたりするのもお勧めです。