スプレッサ・デッレ・ジュディカリエ

DOPに指定された貧しい農家が作ったチーズ「スプレッサ・デッレ・ジュディカリエ」

スプレッサ・デッレ・ジュディカリエ

今でこそチーズは栄養価の高い乳製品のひとつとして世界中で食べられていますが、もともとは冬は食料が不足しがちなヨーロッパで何とか栄養価の高いミルクを長く保存したい、という願いから生まれた保存食でした。スプレッサ・デッレ・ジュディカリエはそんな願いが生んだもっとも古いチーズのひとつ。貧しい農家の知恵が詰まっています。

アルプスで最も古いチーズ

スプレッサ・デッレ・ジュディカリエはイタリア北部、トレンティーノ・アルト・アディジェ州で作られている牛の生乳を原料としたハードタイプのチーズです。この州はオーストリアと国境を接していて州のほとんどがアルプスの山岳地帯です。アルプスで作られているチーズといえば、硬く保存性の高い山のチーズを思い浮かべる方が多いでしょう。スプレッサ・デッレ・ジュディカリエはそんな山のチーズの中でも最も歴史が古いチーズのひとつで、保存食時代のチーズの特色を色濃くとどめています。元々は貧しい農家がミルクからバターをとった後の水分で自家用のチーズを作ったのが始まりといわれています。その為脂肪分が29%~39%とチーズの中ではかなり低めです。2003年イタリアでは31番目にDOP(原産地名称保護制度)に指定され、現在は部分脱脂された無殺菌牛乳でつくられています。

長期熟成が旨みを作る

スプレッサ・デッレ・ジュディカリエは早いもので3か月、長いものでは6か月ほど熟成させます。この長期熟成がミルクの旨みを凝縮させます。チーズの旨みは脂肪分に依る所が大きいのですが、この長期間の熟成が低脂肪のハンデを感じさせない力強い旨みを作りだしています。長期熟成させるとアミノ酸が結晶化し、じゃりじゃりとしたしたざわりになりますが、口に含んでいるうちに熱でチーズが溶けてまろやかな舌触りになます。さっぱりとしたパルジャミーノレッジャーノを食べているような感じがする、という人もいます。

塩味が強いので料理に使っても

スプレッサ・デッレ・ジュディカリエはDOPに指定されているうえ、保存性を第一に考えて作られているので現在のチーズの中では塩味の強い部類に入ります。この塩味の強さがお酒にはぴったりですので、そのまま薄く削ってワインや日本酒のお供にしてもよいでしょう。ただ、脂肪分が低い分あっさりとしていますので腰の強すぎるワインや濃厚すぎる日本酒と合わせるとチーズの方が負けてしまうでしょう。フルーティーな赤ワインや端麗辛口の日本酒と合わせるとよさそうです。また、すりおろせる程度の固さがありますので、削ってサラダやパスタ、スープにかけても良いでしょう。イタリアではキノコ料理にかけることが多いそうです。淡泊なキノコにチーズのコクをプラスして、というところでしょうか。パスタにかけるのなら、こってりとしたクリーム系のパスタはチーズの方が負けてしまいますので、トマトソース系がお勧めです。また、このチーズは作られる磁気が決まっており、毎年秋から初夏かけての半年だけ製造されます。そのため、長期熟成のハードタイプのチーズにしては、流通量が少ないですのでイタリアの物産展など限られたところにしか出てきにくいのです。見かけたら一期一会だと思って買い求めてみましょう。