セイラス・デル・フェン

干し草に覆われたチーズ「セイラス・デル・フェン」

セイラス・デル・フェン

チーズの中にはブドウや栗の葉に包んで熟成させるものがありますが、セイラス・デル・フェンは干し草に包んで熟成させるリコッタチーズです。見た目はちょっと良くありませんが、人々の知恵がギュッと詰まっているチーズなんですよ。

食べ物が少なかった時代の知恵の結晶

イタリアのピエモンテ州、アルプスの山の中で作られている牛の生乳を原料としたセイラス・デル・フェンは、フレッシュチーズの一種リコッタチーズです。リコッタチーズとは、一度チーズを作った後に残った乳清(ホエー)を煮詰めて作るチーズのこと。食糧が豊富でなかった時代、食べ物は可能な限り無駄にしないというもったいない精神が生んだチーズです。リコッタの産地といえば南イタリアが有名ですが、アルプスの山中も山のチーズが盛んに作られていますので、リコッタチーズが作られていても不思議はありません。セイラスとはイタリア語でリコッタの意味、フェンは干し草という意味です。セイラス・デル・フェンは型に詰めるのではなく、布を袋状にしてその中に煮詰めたホエーと塩を入れて水切りして形を作った上に、山中に自然に生えている「ウシノゲグサ」という草にくるんで屋根裏で熟成させたチーズです、「ウシノゲグサ」はブドウや栗の葉のようにお皿なような形ではなく、ひょろりとした細長い草です。ですからチーズを包むというよりまぶすといった感じになり、正直見た目はあまり良くありません。しかしこの草のおかげで水分の多いリコッタチーズも上手に熟成ができるのです。

かなり塩味が効いている味

リコッタチーズは元々できたてをすぐに食べるフレッシュタイプのチーズで、水分も多いです。それを熟成させるためにはかなりの塩分が必要。長期保存させたセイラス・デル・フェンは水分が飛んだぶんむっちりと引き締まっていますが、かなり塩辛い味です。薄味になれた現代人にとってこの塩辛さはちょっときついかもしれません。ですからそのまま食べるよりもパンと合わせたり、スープやパスタ、サラダのトッピングとして使われることも多いです。ワインのおつまみに、とクラッカーに乗せて食べても良いですが、その場合は無塩のものを選びましょう。また、野菜スティックなどの上にのせたり、温野菜の上にかけたりするのもお勧めです。

甘口のワインと合わせてみても

一般的なリコッタチーズはジャムやはちみつと合わせても美味しいですが、セイラス・デル・フェンの場合は上記したようにかなり塩分が強いです。甘いものとしょっぱいものを組み合わせた料理を日常的に食べているヨーロッパの人々ならば、このチーズにもはちみつやジャムをつけて食べることもあるそうですが、日本人にはちょっと厳しい味です。でも、ワインと合わせるならば甘口のワインのほうがお勧め。ワインの甘みがミルクの甘みを引き出してくれます。また、このチーズは干し草がびっしりついているので、なんだかじゃぶじゃぶと洗って落としたくなってしまいますが、そんなことをすればチーズが台無しになってしまいます。軽く払えば干し草は落ちてくれますから、安心しましょう。干し草のクズが気になる、という場合は外皮を厚めにむいてください。さらに一度ナイフを入れるとこのチーズはあっという間に乾燥してしまうので、一度に食べ切れる分だけ買いましょう。

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