ラグザーノ

まるで食パンのような形のチーズ「ラグザーノ」

ラグザーノ

もともと保存食として作られていたチーズは20世紀になるとすぐれた輸出品としてヨーロッパからアメリカへ盛んに送られるようになりました。ラグザーノもそのひとつ。大変歴史があるチーズなのですが、輸出がきっかけになって形まで大きく変わってしまったのです。

まるで食パンのような外見

イタリアのシチリア島で作られている牛の生乳を原料としたラグザーノはセミハードタイプのチーズです。元々はカチョカヴァッロ・ラグザーノという舌をかみそうな名前でしたが、1996年にDOP(イタリアの原産地名称保護制度)に指定されてから、単にラグザーノと呼ばれていました。シチリアで最も古いチーズといわれるほど歴史が長く、モッツアレラと同じ「パスタフィーラ製法」という方法で作られています。これは出来立てのチーズをお湯の中に入れて延ばしていく製法で、これで作られたラグザーノは熱するとお餅のように伸びるのです。ところでチーズというと、大部分が円筒形や丸い形をしていますが、ラグザーノはまるで食パンのようなどーんとした長方形をしています。このような形になったのは第一次世界大戦後、シチリアからアメリカへ渡った大量の移民たちのためにラグザーノが盛んに輸出されたため、船に積みやすいように長方形になったといわれています。チーズの形さえ変えてしまうような量が輸出されたなんてすごいですね。ちなみにこのチーズは天井からつるされて熟成させるのですが、3斤くらいの食パンサイズの塊がいくつも天井からぶら下がっている様子は壮観です。

使い方は様々

ラグザーノは分類上はセミハードタイプですが、熟成するにしたがってパルジャミーノ・レッジャーノなみに硬くなるといわれています。ですから熟成が若いうちはナイフで切り取ってテーブルチーズとしてそのまま食べ、熟成が進むとパルジャミーノナイフで削り取るようにして粉状にして食べるのが一般的です。水分が飛ぶせいで熟成が進んだものほど塩味が強くなりますので、そのまま食べるよりも料理に使われることが多くなってきます。特にトマトソースとの相性はバッチリで、好きな人はトマトソースが見えないくらいたっぷりとかけて食べるんだそうです。気候風土が全く違う未知の大陸に移り済んだ人々にとって、チーズはきっと故郷を思い出すことのできる大切な食べ物だったんでしょうね。日本のイタリアンレストランでも使用されていることが多いのですが、多くは削った状態でだされるので、気づかずに食べているという方も少なくないと思います。

渋めの赤ワインに合わせて

ワインのおつまみとして食べるのならば、比較的若いラグザーノのほうがお勧めです。渋めの赤ワインに合わせると、チーズの塩味がうまく中和されて今までかくされていた旨みが浮かび上がってくるでしょう。お料理に使うのならば、ある程度熟成が進んだものを削って使うのがお勧めです。チーズショップでは熟成期間を表示して売っている所が多いので、用途に応じて買い分けましょう。100グラム単位の値段はパルジャミーノ・レッジャーノとほぼ同じくらいです。「たまには違ったチーズをパスタにかけてみたい」と思う時に手に取ってみてはいかがでしょうか。チーズ下ろし器やパルジャミーノ・レッジャーノナイフがない場合は、果物ナイフで削っても良いでしょう。

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