ペルシエ・ド・ティーニュ

伝統を守り続ける人によって受け継がれているチーズ「ペルシエ・ド・ティーニュ」

ビット

かつてチーズは各家庭で作られるものでした。しかし、時代は移り変わり今はAOC(フランスの原産地統制呼称)に指定されたような一部のものを除いてチーズは工場で製造されるものになりました。その過程で消えていったチーズもたくさんあります。しかしその一方で細々と作り続けられているチーズもあるのです。ペルシエ・ド・ティーニュもそのひとつなんですよ。

ダムに沈んだ村で作られていたチーズ

フランスのローヌ・アルプス地方で作られているヤギのミルクを使って作られているペルシエ・ド・ティーニュはシェーブルタイプのチーズです。もともとこのチーズはアルプスに抱かれたティーニュという村で昔から作られていたチーズだったのですが、1950年代のはじめ、水力発電所が建設されたためにティーニュの村はダムの底に沈んでしまいました。もちろんチーズの工房や牧場も一緒です。そのころのフランスはまだ伝統的な食品を大切にしようという風潮は生まれておらず、新しい工房や牧場を作るための融資をしてくれる金融機関はありませんでした。ペルシエ・ド・ティーニュはこれで消えてしまう運命かと思われましたが、ダムの下流に移り住んだ村人のひとりがわずか5~6頭のヤギを飼い始め、このチーズ作りを再開したのです。現在ペルシエ・ド・ティーニュはわずか一軒の工房のみで作られています。せっかく消滅の危機を乗り越えたチーズですから、これからも作り続けられることを願うばかりです。

武骨な外観だけれども……

ペルシエ・ド・ティーニュは典型的なアルプスの山のチーズです。外皮はところどころカビが生えた白色で、水分が適度にとんでいるため武骨な印象です。しかし、内部は中に行くほど真っ白で、まるで年頃の少女の肌のような美しさ。セミハードタイプのチーズですが中心にいくほどしっとりとした湿り気があります。ヤギのミルクは牛のものに比べて脂肪分が少ないので、チーズにするとポロポロとした食感になりますが、ペルシエ・ド・ティーニュは比較的しっかりとした生地で、口に入れた端からほろほろとこぼれていきます。
長期保存を前提にして作られたチーズですから、塩味はしっかりと効いているのですが、それと同時に天然のはちみつのようなマイルドな酸味があり、チーズ好きにはたまらない一品です。この無骨な外皮も食べられるのですが、柑橘類のような苦みがありますので、苦手な方は厚めにむいて召し上がってみてください。

はちみつをかけたり、白ワインと合わせても

ペルシエ・ド・ティーニュだけでなく、シェーブルタイプのチーズははちみつと非常に相性が良いです。シェーブルタイプのチーズは初めて、という方ははちみつにチーズをつけて食べてみましょう。ペルシエ・ド・ティーニュはしっかりと塩味が効いているので、ザラメせんべいのようなあまじょっぱい味になり、なんだか日本茶が飲みたくなります。ワインに合わせるのならば、赤よりも白がお勧め。ワインの酸味とチーズの酸味が良い具合にマッチして後味も爽やかです。少しずつ削り取るようにして、ワインと共に味わえばアルプスの山々の空気が感じられるような気分になります。上記したようにただ一軒工房で作られているため、生産量も多くありません。日本には定期的に入ってきているようですが、見かけたらぜひ買ってみてください。

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