ペコリーノ・サルド

かの有名なチーズの元?「ペコリーノ・サルド」

ペコリーノ・サルド

イタリアではヒツジの生乳を使ったチーズ作りが盛んです。ペコリーノとはイタリア語で雌のヒツジを意味するペコーラに由来します。その中でもペコリーノ・サルドは長い歴史をもつハードチーズ。実は日本でいっとき有名になったあの食べ物の元でもあるのです。

牧羊の島で作られているチーズ

ペコリーノ・サルドのサルドとはイタリアのサルディーニャ島のこと。ちょうど長靴の形をしたイタリア本土の真ん中あたりにある島です。この島では約2000年前から牧羊が行われてきました。ペコリーノ・サルドはそんな伝統ある羊飼いの知恵が生んだハードタイプのチーズなのです。ところで名前に「サルド」がつく有名なチーズがもうひとつあるのはご存じでしょうか。「フィオーレ・サルド」という名のチーズもサルディーニャ島で作られている世界的に有名なチーズです。かつてペコリーノ・サルドは生乳を半過熱状態にして作られており、フィオーレに対してセミコットと呼ばれていました。しかし今では非加熱状態で作られるのが普通ですので「サルディーニャ島で作られているヒツジのミルクを原料としたチーズ」という意味で「ペコリーノ・サルド」と呼ばれているのです。

熟成度によって呼び名が変わる

ペコリーノ・サルドはハードタイプですので、熟成度によって呼び名が変わります。熟成期間が20~60日のものをフレスコ(ドルチェ)と呼び、オリーブオイルを塗って2か月以上熟成させたものをマトゥーロと呼びます。フレスコのほうはハードタイプとはいっても熟成期間が短いため水分も多めでミルクの甘みとほのかな酸味がバランスよく感じられ、日本人が苦手とするクセもありません。テーブルチーズとしてそのまま味わうほか、野菜のグリルと合わせるのもお勧めです、旬の野菜の上を軽くあぶってチーズと共に食べてみましょう。ジャガイモだけでなくズッキーニやナスなどでも美味しいですよ。マトゥーロはより長く熟成させた分水分が抜け、旨みが凝縮した感じです。食べるとほろほろと口の中で崩れていき、ミルクのコクが口いっぱいに広がるでしょう。そのまま食べるときははちみつをちょっとつけるのが現地流だとか。その他チーズおろしですりおろし、パスタやリゾット、スープなどの風味づけに使っても美味しいでしょう。値段も輸入チーズの中では手ごろな部類なので、色々な楽しみ方を試してみてください。

一時期話題になったあの食べ物の元?

カース・マルツゥという珍味をご存じの方はいらっしゃいますか?その名を聞いたことがなくても、ハエの幼虫が入ったチーズといえばピンとくる方もいらっしゃるでしょう。以前日本でも「超珍味」として紹介され、一時期は話題になりました。そのカース・マルツゥの元がこのペコリーノ・サルドなのです。日本ではチーズ本体ではなく、中にいるハエの幼虫ばかり話題になりましたが、この虫がチーズを食べることによってチーズの発酵と脂肪分の分解を促すのです。しかし食べる方は年々少なくなり、今では健康被害が確認されたからという理由で流通が禁止されています。しかし、ペコリーノ・サルドの故郷サルディーニャ島ではまだまだ愛好家は多く、自家消費用に作っている農家もあるとか。チーズ好きには何かと気になるチーズですが、うかつに手を出さないほうがよさそうです。