マロワル
1000年以上の歴史のあるウォッシュタイプのチーズ「マロワル」
最近はチーズの本場フランスでも、癖のなく柔らかい風味のチーズが好まれるようになってきたそうですが、昔ながらの匂いの強いクセのあるチーズも根強い人気があります。マロワルもそんな伝統的なウォッシュタイプのチーズのひとつなんですよ。
7世紀から続く伝統の味
フランスのティエラッシュ地方にある、ベルギーとの国境にほど近いマロワル村で作られているマロワルはウォッシュタイプのチーズです。7世紀ころにこの村にある修道院で作られたのが最初といわれていますので、1000年以上の歴史があるのですね。昔はロックフォールのように地下の洞窟で熟成がされていたため、自然に薄いオレンジ色になっていましたが、現在は温度管理された部屋で熟成が行われていますが、伝統を重んじて赤系の色素で着色が行われているそうです。
チーズというと、丸いものが多いのですが、マロワルは四角い形をしています。しかも大きさも様々で、1辺が13センチ、750グラムくらいのものからその1/4サイズのものまであります。日本ではこの1/4サイズのものが最も多く輸入されています。赤系色素で色づけられたチーズの表面は薄いオレンジ色に染まり、見方によっては焼き色のようにも見えます。小さく切り分ければ一口サイズのベイクドチーズケーキそっくりですが、味は伝統的なウォッシュタイプのチーズなんですよ。
これぞウォッシュタイプといった味
マロワルは「これぞウオッシュタイプのチーズ」と言いたくなるような味をしています。はっきりとした塩味に、独特の癖。旨みは濃厚なのですがなれないとちょっと手を出しにくい味でもあります。しかし、一度「美味しい」と感じると何度も食べたくなる味でもあります。外国産のナチュラルチーズをある程度食べなれて、「もっとパンチの効いた味のものが食べたい」と思っている方にお勧めのチーズです。
温めて食べると優しい味わいになる
ウォッシュタイプのチーズはスプーンですくってそのまま食べたり、野菜やパンにつけて食べたりすることが多いのですが、マロワルは例外的に「フラミッシュ」と呼ばれるキッシュに加工されて食べられることが多いです。北フランスのお総菜屋さんではポピュラーな一品で、パイ生地の上に生クリームや卵と共にマロワルを流してオーブンで焼いたおかずとして食べられるパイです。マロワルの独特なクセと匂いが加熱することによって弱まり、旨みが前面に出てきます。これならば独特な味が苦手な人でも食べやすいですね。
地ビールに合わせてどうぞ
フランスでチーズに合わせる飲み物といえばワインですが、マロワルはベルギーの国境付近で作られていることもあり、ビールと合わせても美味しくいただけます。ラガータイプでもどっしりとしたコクのあるエールタイプでもお好みに合わせてどうぞ。ワインに合わせるならばチーズの癖に負けないような古ボディタイプの赤ワインを選ぶとよいでしょう。両方を用意してマッチング比べをしてみる、というのもお勧めです。またフラミッシュは冷凍敗シートを使えば簡単にご家庭で作ることができますので、「頑張って挑戦してみたけれど、そのままで食べるにはちょっと辛い」と思ったときはフラミッシュに加工してみてはいかがでしょうか。そのままよりもぐっと食べやすくなりますよ。