ライオルチーズ

よく似た兄弟を持つチーズ

ライオルチーズ

チーズ大国フランスで最も歴史があるセミハードタイプのチーズ、ライオル。オーヴェルニュ地方のオーブラック高原にあるライオル村がふるさとで、同じくフランス最古のチーズと呼ばれる「カンタル」とは味も風味も良く似た兄弟のようなチーズです。もうひとつよく似た風味と味を持つチーズにサレールがあり、3つ合わせてチーズ3兄弟とも呼ばれています。

牛飼いから修道士へ

ライオルはかつて牛飼いが作り方を発見し、それを山間部の教会の修道士たちに作り方を伝えた、という伝説が残っています。粗末な食事で厳しい修行を続ける修道士たちにとって、保存性が高く脂肪分が豊富なチーズは何よりのごちそうだったにちがいありません。その後、11世紀ごろに今度はライオルの村人たちに修道士たちがチーズ作りを伝えたという話も残っています。そんなライオルは良質なミルクを出す牛であるオーブラック種とピ・ド・ルージュド・レスト種の生乳で作られます。表皮は厚く乾燥していて、茶色と白が混ざったような複雑な色をしています。中身は一転して濃い乳白色で、触るとポロポロとこぼれるもろさが特徴。これはチェダーチーズと同じ製法で作られているためで、ライオルチーズはチェダーチーズの元祖ともいわれています。

生産量が少なく、フランスでも流通しにくい!?

ライオルは20世紀末までは生産量が700トンもあったのですが、年々職人が減っていき、1960年代にはわずか30トンにまで生産が落ち込んでしまいました。このままでは伝統あるライオルが失われてしまう、と危惧した人々がライオルを守るために組合を結成し、今に至るまで生産を続けています。今では数百トンの生産量を誇っていますが、それでもフランス第3位の生産量を誇る兄弟チーズの「カンタル」の生産量のわずか5%にも満たない大変貴重なチーズなのです。ですから、フランス国内でもあまり流通せずましてや日本には1990年代までは輸入されていませんでした。今では細々と輸入、販売されているようですが店頭よりネット通販のほうが手に入れやすいようです。一般的にセミハードタイプのチーズはクセがないといわれていますが、ライオルは4か月以上も熟成させてから市場に出すので、個性的な風味があります。味わいも塩辛く、少々の酸味もありまさに「チーズの漬物」という感じだそうです。

若いライオルで作るフランの伝統料理

フランスにはチーズを使った料理はたくさんありますが、ライオルに限っては緒と珍しい使い方をされます。その名は「アルゴ」。材料はまだ完成前の若いライオル。「トム」といわれる生乳にタンパク質凝固物質を加え、固まったものを脱水した状態のものを使うので
す。この若いライオルをゆでたジャガイモに加え、さらに生クリームやにんにく、胡椒と塩で味を調えれば完成です。大変素朴な料理で作り方も難しくはありませんが、日本のジャガイモで作ると粘り気が今一つでないそうです。なので家庭で作る時はモッツアレラも少々加えると本場の味に近くなるでしょう。プロの料理人がつくるとチーズと混ざったジャガイモがまるでオモチのように2~3センチ伸びるので、レストランなどではパフォーマンスをしながら盛り付けられることもあるそうです。熟成が進んだ完成品のライオルは酸味のあるライ麦パンに乗せていただくか、フルボディの赤ワインと合わせると美味しくいただけますよ。

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