エルヴ・アフィネ・ア・ラ・ビエール

ビールで洗って熟成させたチーズ「エルヴ・アフィネ・ア・ラ・ビエール」

エルヴ・アフィネ・ア・ラ・ビエール

お酒や塩水で洗って熟成させることで独特の旨みと風味が生まれるウォッシュタイプのチーズ。チーズを洗うお酒は国によって様々ですが、やはり生産量の多いお酒が使用されることが多いです。ベルギーはドイツと同じくらいのビール大国。チーズを洗うのももちろんビールです。

長い伝統のあるウォッシュタイプチーズ

ベルギーを代表するウォッシュタイプのチーズはエルヴです。ワロン地方エルヴ高原で作られているもので、原料となるチーズは牛の生乳でつくられたものです。ベルギーのチーズは今まではあまりなじみがないものでしたが、最近はビールと共に輸入量が増えてきています。このチーズはベルギーで唯一AOP(原産地名称保護制度)に指定されているもので、15世紀から作られている長い歴史があります。このチーズはまず塩水で洗われ、その後4~5週間ベルギービールで洗われて完成します。手間がかかっていますね。

ふるさとは修道院

20世紀に入るまで、チーズは自家製か小さな工房、もしくは修道院で作られてきました。エルヴ・アフィネ・ア・ラ・ビエールも作り始めたのは修道院、と伝えられています。ベルギーの修道院はビールも製造していたので、チーズを洗うお酒としてはもってこいだったのでしょう。修道院がお酒?と思う方もいるかもしれませんが、キリスト教は飲酒を禁酒していませんし、礼拝はワインが欠かせません。また、日本ではビールは「とりあえず一杯目に飲むお酒」というイメージが強いのですが、中世まではビールはアルコール度も低く「飲むパン」といわれるほど栄養価も高かったので、お酒というよりカロリー補給の栄養ドリンクとして飲まれることが多かったのです。修道院は自給自足が原則なうえ、厳しい修行をしているので、体力を維持するためにビールが欠かせなかったのでしょう。ちなみに現代のベルギービールもずっしりと飲み応えがあるものが多いです。そんなビールで洗ったチーズは強めの塩味のなかに、ミルクの甘みが感じられる食べやすいチーズです。匂いもフランス産のウォッシュタイプのチーズほど強くなく、ナイフで切れないほどとろけることもありません。ホップのせいか、後味に若干の苦みも感じられる大人の味です。

ビールに合わせたい味

チーズに合うお酒、といえばワインですが、やはりビールで洗ったチーズはビールと合わせたいですね。日本のピルスナータイプの軽くのど越しの良いビールでもよいですが、手に入るのならぜひベルギーのどっしりとした濃い味のビールと合わせてみましょう。塩味は十分に聞いていますので。薄く切るだけで立派なおつまみになります。刺激がほしい方はブラックペッパーか七味唐辛子を振ってもいいですね。ベルギービールは日本のビールのようにごくごく飲んでのど越しを楽しむ、というよりちびちび飲んで酔いの周りと味を楽しむビールです。ベルギービールは1本330ml入りのものが多く、日本のものより量が少ないですが、飲み始めるとこの量でちょうどいいな、と思えるはずです。お酒が飲めない人や苦みが苦手な人はレタスやトマトなどの野菜に合わせるか、レーズン入りのパンに乗せて食べてみましょう。後味の苦みを野菜やレーズンの甘みが打ち消してくれます。

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