ガプロンチーズ

フランスにも合った「おっぱい」チーズ ガプロン

ガプロンチーズ

「姑のおっぱい」という異名を持つこのチーズは厳しい食糧事情の中、食べられるものならば何でも無駄にしない人間の知恵が生み出したチーズなのです。

原材料は残り物

ガプロンのふるさとはフランスの山岳地帯オーヴェルニュ地方です。山岳地帯は土地が痩せているので、十分な耕作ができません。昔の食糧事情は大変厳しかったようで、人々は口に入るものは少しも無駄にしませんでした。ガプロンもそんな生活の知恵から生まれたチーズです。通常、チーズの原材料は牛や羊、ヤギなどの生乳を使いますがこのガプロンはバターを作った残りのミルク(バターミルク)が原料です。バターミルクは現在の低脂肪牛乳のような牛乳からコクを抜いたような味といえばイメージしていただけるでしょうか。カブロンの「ガプ」とはオーヴェルニュ地方の方言で「残りかすのミルク」という意味だそうです。

足りないコクは胡椒とニンニクで補って

バターミルクはバターをとった残りものですから、脂肪分がほとんどありません。チーズの主成分はタンパク質ですが、やはり脂肪分がないと美味しさがいまひとつです。そこで、ニンニクや胡椒を入れることで足りないコクを補っているのですね。チーズの中に胡椒やニンニクが入ったチーズというとフレッシュチーズの「ブルサン」が有名ですが、ガプロンはすぐに食べるのではなく、数か月間熟成させます。その間に自然の白カビがつきますので、このチーズは白カビチーズに分類されます。昔は暖炉の脇で吊るして熟成をさせたそうで、この紡錘系の形も吊るしやすいようにという配慮です。若いうちはセミハードチーズ程度の固さがあり、ナイフで切り分けて食べることができますが、熟成が進むと表面のカビがよりほわほわとしてきて、中のチーズは水分が失われて一層固くなります。最後はナイフの刃も通らないくらい固くなるので、すりおろしてパスタにかけたり、リゾットにしたりしていただきます。すりおろせるくらい固くなる白カビタイプのチーズというのも大変珍しいですね。

ガプロンの数が豊かさの証

かつてオーヴェルニュ地方では、吊るされたガプロンの数でその家の財力を測ったと言われています。たくさんのガプロンを作ることができるということは、それだけミルクを生産できる家畜を持っているという証だったのでしょう。ガプロンを沢山つるした家には結婚の申し込みが多かったそうです。現在では、ガプロンはオーヴェルニュ地方の名物として全世界に向けて輸出されています。まかれている黄色いリボンは昔は暖炉に吊るすための実用一辺倒のものでしたが、他所の地方への需要が高まるにつれて少しでもきれいに見えるようにと巻かれるようになったのだとか。オーヴェルニュ地方の人々の素朴な気遣いがよくわかるエピソードですね。フランスのチーズらしく合わせる飲み物はワインでもよいのですが、このチーズはビールと相性が良いことでも有名です。ニンニクや胡椒が入っていますし、どこかスモーキーな風味もあるのでスモークチーズ感覚で食べるとよいでしょう。また、上記したように熟成が進むにつれて固くなっていきますから、硬くなったものをパルジャミーノレッジャーノのような感じですりおろして料理に使うのもお勧めです。ガプロンを保存する際には、黄色いリボンや包まれていたセロファンを一度すべてはいで、クッキングペーパーなどでくるんで保存しておくと、全体的にきれいにカビが生えてきます。

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