フィオーレ・サルド

力強く素朴な味に可憐な名前「フィオーレ・サルド」

フィオーレ・サルド

チーズは今でこそオシャレな乳製品として、世界中の人々に愛されていますが近世に入るまでは、貴重な食糧であるミルクを少しでも長く保存するために人々が知恵を絞った保存食でした。フィオーレ・サルドはそんな古い時代のチーズの特徴を色濃く残しています。素朴ですが力強い味のチーズは、生きるためのパワーが詰まっているように感じられます。

ヒツジの島で作られ続けてきたチーズ

フィオーレ・サルドはイタリア サルディーニャ島で作られているヒツジの生乳を原料としたハードタイプのチーズです。サルディーニャ島の牧羊の歴史は大変古く、紀元前2千年前までさかのぼることができる、といわれています。島のヒツジの数は人間の数よりも多いそうで、人々はヒツジから毛やミルクを採ることで生活を営んできました。そんな島で昔から作られてきたフィオーレ・サルドは、すべてがヒツジ由来のもので作られているチーズ。生乳のタンパク質を凝固させる「レンネット」という物質は、子牛の胃からとられた酵素を元に作られたものを使うのが一般的ですが、フィオーレ・サルドはこれも子羊の胃からとられたものを使うのです。

燻製にさせてから熟成させる

フィオーレ・サルドというのは「サルディーニャの花」という意味です。しかし、このチーズは可憐な花とは程遠い外観をしています。ハードチーズはチーズの中でも熟成期間が長いので、表皮がカビに覆われていたり、石かレンガのように硬そうだったりしますよね。フィオーレ・サルドはその上熟成させる前にチーズを作る小屋の天井の網棚の上で燻製にするのです。煙でいぶされたチーズは外皮があめ色に変わり、薫香がでてきます。その後、フィオーレ・サルドは外皮にオリーブオイルを塗りながらじっくり熟成されるのです。
こうしてできあがったチーズは何の飾り気もない地味なものですが、薄く切って口に含むと凝縮されたミルクの旨みが口いっぱいに広がります。ヒツジの生乳は牛のものよりもコクがありますが、チーズにするとそれが一層強く感じられますね。また、燻製にされたことによりついた甘やかな香りが口から鼻へと抜けていきます。昔の島民がどのような食生活をしていたのかは詳しくはわかりませんが、現在の私たちのように美味しい食べ物があふれていたというわけではないでしょう。そんな食生活の中で、脂肪分の旨みが感じられるチーズは名前の通り食卓の花だったかもしれませんね。

塩味が強いので料理に使っても

フィオーレ・サルドは昔からの製法を守って作り続けられているチーズですから、保存性を高めるために塩分も若干強めになっています。ですからそのまま食べてみたら「ちょっと塩味がきついな」と思う方もいるでしょう。そのような場合は料理に使ってみましょう。フィオーレ・サルドはコクがありますが、クセはそれほど感じられないチーズですので、サラダやスープ、リゾットなどに削りかけるのもおすすめ。料理の味を壊さず旨みを膨らましてくれます。また、現地では、はちみつをかけて食べるという方も多いので、ザラメせんべいのようなあまじょっぱいものが好きな方は試してみられてはいかがでしょう。ワインに合わせるのならば、甘口の白ワインがお勧めです。日本酒のおつまみにしても美味しいですよ。