カステルマーニョ

幻と呼ばれたチーズ「カステルマーニョ」

カステルマーニョ

チーズはもともと保存食として作られていましたから、必要がなくなれば作られなくなり、製法も忘れられていきます。カステルマーニョもそのひとつ。現在はイタリアのDOP(原産地保護名称)に認定されていますが、それでも生産量は年間2トン程度です。

消え去りそうだった製法

カステルマーニョは北イタリアに位置するピエモンテ州クオネ県で生産されているハードタイプのチーズです。名前の由来はこの県にある山の名前とその山頂に立つ教会です。カステルマーニョはこの山に住む人々の貴重な越冬食料として長い間作り続けられてきました。しかし、人々が山を下りて平地に暮らすようになるとカステルマーニョは徐々につくられなくなり、いつしか「幻のチーズ」とまで言われるようになりました。1982年、平地でもカステルマーニョの製造の許可が出たため、生産量はまた少しずつ増えてきましたが、それでも年間の生産量は2トン程度、イタリアのDOPに認定されているチーズの中では最も少ないです。

ハードタイプのチーズだけれど……

カステルマーニョはハードタイプのチーズですが、独特の製法で作られています。原料の生乳は基本的に牛のものが使われますが、足りない場合はヤギやヒツジの生乳も足されます。一般的なチーズの作り方は、温めた生乳にタンパク質凝固物質を加えた後、重しをかけて水分と固形分を分離させます。その後、出来上がったカートを熟成させることでチーズが出来上がるのですが、カステルマーニョは固めたミルクを重しをかけるのではなく、麻袋に入れて水分を切り、その後2日間発酵させるというこのチーズオリジナルの工程を入れて作られます。その後成形されたチーズは2~5か月の熟成期間を経て完成品となるのです。こうして出来上がったチーズは独特の酸味があり、口の中でほろりと崩れる独特の食感があります。その後、さらに熟成が進むとチーズの内部には青かびが生えてくるのですが、実はカステルマーニョが最も美味しくなるのは青カビが生えてから、とも言われているのです。ですから、青かびが生えるとイタリアの人たちは「チーズに花が咲いた」と喜ぶそうですよ。

そのまま食べるほか、ソースの材料にしても

カステルマーニョは多彩な食べ方が楽しめるチーズです。そのまま食べるのはもちろんのこと、パスタソースにしたり、ニョッキの中に入れたりと料理に使っても美味しく頂けます。生クリームとの相性がとても良いので、パスタソースにするときは生クリームに溶かし込むような形をとるとチーズがだまにならずにうまくパスタに絡みます。ワインと合わせるのならばしっかりとしたボディの赤ワインがお勧め

伝統的な製法で作られたものにだけつけられる名前

カステルマーニョはイタリアのDOPを取得しているチーズですが、山の中だけでなく平野部でも生産が認められています。しかし、1000m以上の牧草地で夏季放牧を行った無殺菌脳死の生乳を原料として使い、昔ながらの製法で作られたカステルマーニョは特別に「カステルマーニョ・ダルペッジョ」と呼ばれています。これぞ幻の中の幻のチーズ。生産量の少ないカステルマーニョの中でも、さらに少量しか生産されていませんが、もし食べる機会がありましたらぜひそのままじっくりと味わってみて下さい。