カネストラート

カゴの中で熟成させるチーズ「カネストラート」

カネストラート

ヨーロッパでは羊の生乳を原料としたチーズがたくさんありますが、カネストラートもそのひとつ。その名の由来はチーズを熟成させている間の入れ物の「カゴ」からです。チーズの表面の細かい網目模様は熟成の過程でついたものだったんですね。

民芸品によって熟成されるチーズ

南イタリアのアドリア海に面したプーリア州で作られている羊の生乳を原料としたカネストラートはハードタイプのチーズです。ミルクを出す羊はメリノス種と同じ系統の羊ですが、プーリア原産の羊なんですよ。このチーズの特徴は表面についた細かい網目。実はこれ、チーズを熟成させるときにこの地方の民芸品である葦のカゴ(カネストロ)を使っているのでこんな網目が付くんですね。カゴの中に入れることで若いチーズに残った余分な水分をできるのだとか。現在は衛生面を考慮してカゴは葦で作られたものから、プラスチック製のものへと変えられていますが、今でも美しい網目模様はしっかりと顕在しています。

独特なコクと甘みを楽しもう

日本ではチーズというとほぼ100%牛の生乳を使った物ばかりですが、ヨーロッパのチーズは牛の他に羊やヤギの生乳を使った物も多いです。羊のミルクは牛の物と比べると独特のコクと甘みがあるのですが、カネストラートはそのミルクから作られたチーズを最低90日は熟成させてから出荷するので、ミルクの旨味がより濃縮しています。直径が14cm~34cm、重さが7kg~14kgもある大きなチーズですので、販売されるときは通常切り分けられます。切った断面図には転々とチーズ孔を見ることができるでしょう。カネストラートは若いころは旨味と甘みが感じられるもののどちらかといえばクセのない味ですが、熟成が10か月を超えるようになると、舌にひりりとくるような辛みが出てきます。ここまで熟成させてしまうと、そのまま食べるのは困難なので、すりおろしてパスタなどのアクセントとして使われます。

DOPに認定されたものもあり

フランスにAOC(原産地呼称統制)があるようにイタリアにもDOP(原産地名称保護制度)が存在します。EUになったことにより、名称は徐々に統一されつつありますが、各国名称が異なるとどこの国のチーズか一目でわかりますね。カネストラートは北プーリアのフォッジャ県近郊で作られるものがDOP認定され、「カネストラート・プリエーゼ」と特別な名称で呼ばれます。チーズショップの中で同じカネストラートなのに値段が随分違うものがあったときはDOP認定されているものなのですね。

そのまま食べてもすりおろして料理に振りかけても。

カネストラートはそのまま薄く切って食べても、すりおろして料理の風味づけにしても美味しいチーズです。特に熟成が進んだものはとても固くなり、辛みも出てきますのですりおろした方が美味しく食べられるのですね。でも、羊のチーズは初めてというかたはぜひ少々若いチーズをそのまま食べて羊のミルクの濃縮した旨味を味わってみて下さい。クセがあまりないチーズですので、赤と白どちらのワインにもあいます。また、カネストラートはイタリアの全土で比較的手に入りやすいチーズです。旅先のスーパーにちょっと立ち寄ったときなどにカネストラートを買って味見をしてみるのも面白いでしょう。また、伝統的な作り方や産地を守っているDOPのものとノーマルのものを食べ比べてみても面白いかもしれません。