カブラレスチーズ
野趣あふれるアオカビタイプのチーズ カブラレス
カブラレスはスペインで作られている数少ないアオカビタイプのチーズです。アオカビチーズのあのピリピリとした独特の刺激が大好き、という人にはぜひお勧めですよ。
幻のチーズ
スペインのアストゥリアス地方。ピコス・デ・エウロパ山脈にあるカブラレス村で作られているチーズです。現在ではこの村を含む4つの村でしか生産が行われていないため、「幻のチーズ」と呼ばれているそうです。基本の原料は牛の生乳ですが、季節によっては羊やヤギの生乳も混ぜて作られます。ロックフォールと同じように自然にできた石灰石の洞窟で熟成されますが、その時に表面を塩水で付けたカエデの葉で覆うのがこのチーズの特徴です。現在は衛生面から出荷される前にカエデの葉は取り除かれ、ビニルテープでおおわれてしまうのだそうですが、それでも独特の風味はしっかりとチーズに残っているそうです。
外側から内側に向かうカビ。
現在、ほとんどのアオカビタイプのチーズは、タンパク質凝固物質を入れる前の生乳にアオカビを混ぜ、撹拌をすることでアオカビを付着させて作ります。このような作り方の場合は、アオカビは内から外へ向かって繁殖しています。しかし、このチーズは昔ながらの作り方をしているので、自然の中にいるアオカビの菌がまずチーズの外側に取りつき、徐々に内部へ浸透していきます。ですから、白カビタイプのチーズのように外側がびっしりとカビにおおわれているのに、内側はまだ真っ白のまま、というものも多いのです。アオカビチーズの中では珍しいタイプですね。
野趣あふれる風味
さて、このように昔ながらの方法で作られたカブラレスは、その味も野趣あふれています。まるで酒粕のような味と匂いに加え、アオカビ独特のピリピリとした刺激もかなりのもの。アオカビタイプのチーズを食べなれていない人は、一口で「ごちそうさま」と言いたくなるような味だそうです。しかし、刺激の強いアオカビタイプのチーズが大好き、という人にはこの風味はたまらないはず。ヨーロッパの食通曰く、「アオカビタイプのチーズのひとつの頂点」だそうです。
日本酒に合わせて
このかなり癖の強いチーズは、現地では甘口のワインに合わせて食べられるそうです。日本にもごくわずかに輸入されているそうですが、食べたかたの話によると、甘口の吟醸酒と合わせると、わさび漬けをおつまみにお酒を飲んでいるような感じがしてとても美味しかったそうです。日本とスペインという遠く離れた地で作られたもの同士がぴったりの相性だなんて、とても興味深いですね。
後継者 パルディオン
カブラレスは生産量が少なく、あまり国外にまで出回ることがありませんが、現在のスペインではカブラレスを模して作られた「パルディオン」というアオカビチーズなら比較的簡単に手に入るそうです。日本にも100グラムあたり1000円程度で売られていて、大手デパートのチーズ売り場などで手に入れることができるでしょう。このパルディオンはカブラレスほど強烈ではありませんが、塩味も刺激も強く「これぞアオカビチーズ」という味だそうです。好きな方はそのまま食べてるのがお勧めですが、きついアオカビタイプのチーズは苦手、という方ははちみつをかけて食べるのがお勧めだそうです。特にはちみつの中でもしっかりとした味わいの栗のはちみつが良いとか。はちみつをかけたチーズはデザートとしても、また赤ワインのおつまみとしてもぴったりですよ。