ビット

知る人ぞ知る通好みのハードタイプのチーズ「ビット」

ビット

イタリアのチーズというとパルジャミーノ・レッジャーノが最も有名ですが、このビットは知る人ぞ知る、イタリアのハードタイプのチーズ。いわば隠れた名品です。ハードタイプのチーズというと長い熟成期間が特徴ですが、ビットの中にはなんと12年も寝かせたものもあるそうですよ。

アルプスに育まれたチーズ

イタリアのDOP(原産地名称保護)に指定されているビットは、ハードタイプのチーズです。生産地はチーズの名産地として名高いロンバルティア州。そこのソンドリオ県とベルガモ県の渓谷地帯で飼われている牛とヤギの生乳が原料です。といってもヤギの生乳は10%までと決められているので、ほぼ牛の生乳製のものと変わりがありません。イタリアのハードタイプのチーズというとパルジャミーノ・レッジャーノが世界的に有名ですが、こちらのビットは知る人ぞ知る隠れた名産、といった感じです。DOPにまで指定されているのに知名度が高くないのは2つの理由があるからです。ひとつは、原料の生乳、ビットの原料となる牛のミルクは6月~10月の間高地牧場で放牧されている牛のものでなくてはなりません。その他の季節に絞られたミルクはすべて「ヴァルテッリーナ・カゼーラ」という別のチーズになります。つまり、作られる季節までが限定されるのですね。もうひとつは熟成期間。ビットは25日~40日ほど熟成させたものから出荷できますが、調理用として最もおいしくなるには2年間は熟成させなければならないそうです。これではたくさん生産することができず、知名度も今ひとつなのですね。

ハードタイプのチーズ好きにはたまらない味

ハードタイプのチーズは、長く熟成させることによって濃縮したミルクの旨みと複雑なコクが味わえるのが特徴ですが、ビットはその最高峰といっても良いでしょう。口に入れたとたんいっぱいに広がる複雑な旨みとコクは思わず「飲み込みたくない」と思ってしまうほどです。しかも、熟成させるほど旨みと複雑さは増していき、それと共にお値段も上がっていきます。4年~5年ほど熟成させたものは1キロ5千円以上するとか。それでも飛ぶように売れていくそうです。現地以外ではイタリアでもあまり出回らないとかで、通は熟成中のチーズを買い、じっくり完成を待つそうです。長期熟成したものの中にはなんと12年も熟成させたものがあり、その味はまるで最高級のマロングラッセのようにかぐわしく甘く、口の中でとろけるように消えて行ってしまったそうです。
そう聞くととても食べたくなってしまいますが、残念ながら12年物ともなると現地の工房まで行かないと食べられない代物だとか。日本に輸入されてくるものは数か月~2年物が一般的。それでも十分美味しいですよ。ハードタイプのチーズが大好きという方はぜひ食べてみてください。

日本酒と合わせても美味しい

ビットはそのまま削ってちびちびと食べる他、すりおろしてそば粉のパスタにかけてもとても美味しいそうです。そばといえば日本酒、ということではありませんが、ビットは日本酒との相性もぴったり。ハードチーズにありがちな塩辛さがなく見る区の甘みが強く出ているチーズですので、口に含んだ後、日本酒で溶かすように味わってみてください。チーズの旨みが日本酒で花開きます。